ダイナミックな花崗岩の渓谷が楽しめるという噂の屋久島を、海から海へとぶった切るルートで遡下降した。
今回のメインディッシュは宮之浦川の龍王の滝。沢ヤなら地形図を見れば自然と吸い込まれること間違いなしのゴルジュ地形に隠されている、なんともロマンある滝である。
遡行では大高巻きになってしまうので、どっぷりと渓谷に浸かりたい我々はキャニオニングで下降することを選択。
沢登りもしたいので、天気予報とにらめっこして、小楊子川を遡行してアプローチすることに決定。日本百名谷にも選ばれているが、果たしてその内容はどうだろうか。胸を膨らませて入渓。
小楊子川遡行
小楊子川はゴーロ区間が長い。ハイライトはこけしスラブと小楊枝大滝のみである。


宮之浦川下降
宮之浦川は下降向きの谷だ。登攀不可能な滝が多く、遡行では大半の時間を高巻きに費やすことになりそうだ。
源頭からほどなくして側壁がグッと狭まりゴルジュとなる。次々と現れる滝を懸垂下降や巻き下りで気持ちよく下っていくと、いつしか空はカラッと晴れて、側壁には花崗岩の巨大なスラブが光っている。
延々と続いた小楊子川のゴーロ歩きと、朝っぱらの激ヤブ漕ぎに心底うんざりしていた我々は急にテンションが上がり写真を撮りまくる。特徴的な形の滝が多く、下れども下れども飽きない。





Co986mの二俣を直角に曲がると間もなく核心の龍王の滝だ。龍王の滝は2段になっており、上段は70m、下段は35mほどだ。
まずはヒューマンアンカーでタスクさんを確保し、落ち口から下の様子を偵察してもらう。上段の滝の中ほどにはロープがスタックしそうな岩角、滝つぼから下段の滝の落ち口まで続く、長い水路の途中にはCSがあり、サイフォンになっているとのことだったので、左岸の樹林から、水流を少し避けて下降。トップはタスクさん。懸念していたCSは左から容易に這い上がることができたので安心して続く。
日暮れが近づき、薄暗くガスが立ち込めてきたゴルジュはおどろおどろしい雰囲気を醸し出している。しぶきを立てて落下していく、バカでかい丸太のような水の束を横目に、真っ黒で長い水路に向かって60mの懸垂下降。頭が沸いて鳥肌立つような感覚だった。
続く下段35mも左岸から下降し、夕闇迫る中タープを張り幕営。核心は越えたので、多めに持ってきていた食料をバカ食いした。








最終日はゆっくり起きて、支流のゴルジュ地形の様子を見に行く。地形図上はなかなかのゴルジュだが、実際に行ってみると水は枯れていて残念な感じ。早々に厄介そうなCSが出てくるのでさっさと諦めて帰路に就く。
帰りの林道が長く、タクシーもバスも捕まらないので、気晴らしに彷徨クラブ(仕事中)のメンバーに電話を掛けながら、トッピー乗り場まで延々と歩いた。しょうもない会話に付き合ってくれる仲間はありがたいものだ。
仲間の二人もそれぞれの視点で記録を書いていて、面白いのでぜひ読んでみてほしい。
タスクさんの記録 四国開拓日誌
リュウスケの記録 紀伊半島彷徨倶楽部
ギアのふりかえり
トライアングルロープバッグ(プロト版)
今回の山行はこの製品の最終テストも兼ねていた。結果として微修正は加え最終製品としてリリースすることにした。
サイズ感はCE4Yの7mm80mはぴったり収まる。8mm100mは押し込んでギリギリといったところ。ロープを収納した状態でRodcle Takamaka 55Lの口に、ピタピタに入るサイズ感なので、遠征用のサイズとしてはこれ以上大きくしなくても良いと考える。
キャニオニング専用として、もう少し大きなモデルも制作予定。
改善点:
押し込む際にジッパー回りに大きな負荷がかかるので、グログランテープで補強。
エンドループ(ロープ末端固定用)が見えにくいので、わかりやすい色のチューブに変更。
コードの止め結びが緩みやすいので、結び方変更。
キャニオニング用ケツパッド
リュウスケが自作のケツパッドを持ってきていたが、これが非常に良さそうだった。
キャニオニングや巨岩の上り下りの際には尻で滑り降りることが多く、ウェアの消耗が激しい。
このため、キャニオニング用ハーネスにはターポリン製のケツパッドがついているが、これは耐久性重視で非常にゴツイので、我々はクライミング用の軽量ハーネスで遡下降を行っている。
今回リュウスケはトラックの荷台シートを適当に切って接着剤で止めてケツパッドを持ってきていたが、これは既存製品よりもかなり軽くかさばらないので良さそうであったので真似したい。製品化もできればよいが。。。
防水バッグ
Sea to Summitのビッグリバードライサック65Lをメインに使用したが、私の用途には耐えられない。廃盤だが、同じくSTSのストッパードライサックは浸水無しだったようだ。私も以前使っていいたが、早々に折りたたむ部分のプレートが剥がれ、スタメンから外していた。しかし、ハードユーザー曰く、その状態になっても防水するとのことだったので、帰宅後即購入した。
スリーピングマット
屋久島は巨岩が多く河原が少ないため、岩盤で寝る可能性が多いと聞いていたので、今回はThermarestのRidgerest Classicを使用した。実際、快適な幕営地はほとんどなかったので、この選択肢は正解だった。
いつも使っているEvernew FP Mat125では、底冷えと腰痛にやられたであろう。1-2泊ならコンパクトで軽いのでとても良いが、長期山行になると眠りの質がパフォーマンスに響いてくるので使い分けていきたい。
山行概要
日時:2025.05.10-14
メンバー:GORGE CLUB、リュウスケ、きむ
行動記録:
1日目(晴れ)
13:00 栗生橋
16:00 入渓、幕営
2日目(晴れ)
07:05 幕営地 発
12:00 こけしスラブ
14:50 二俣
15:30 幕営地 着
夜間雨降る
3日目
07:00 幕営地 発
14:15 小楊子大滝(高巻き40分)
16:50 幕営地 着
4日目
06:25 幕営地 発
06:35 登山道
07:50 入渓
15:30 龍王の滝 落ち口
18:55 幕営地 着
5日目
09:00 幕営地 発
12:50 林道
16:50 トッピー乗り場
遡行図



GROMMET / グロメット きむ
