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後立山|栂海新道 バックカントリー

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日本海から白馬をつなぐ栂海新道。海から山へ、山から海へ、どちらから辿るにしても、一つの山行として完結した魅力的なルートだ。
私も以前から興味があり、行くならスキーの機動力を生かせる積雪期にチャレンジしてみたいと思っていた。しかし、最低でも2泊3日、予備日を考慮すると3泊4日は必要なロングルート故、なかなか手を出せないでいた。
そんな折、白馬のイカレたスノーボーダー、やまねさんからお誘いを受けた。やまねさんは、雪のある時期は寝る間も惜しんでとにかく山を滑りまくり、そのほかの時期は渓流釣りをするという生活をしている自由人。(驚くことにちゃんと仕事もしているらしい。)
彼にとって栂海新道は、白馬に籠り始めた5年前からの念願のルートで、積雪量の多い今年こそチャンス!!と大変意気込んでいた。これ幸いと乗っからせていただくことにして、天気予報とにらめっこの末にいざ決行。

1日目 栂池高原スキー場-雪倉岳避難小屋

朝イチで親不知に車をデポ。スキー場に移動するがあいにくと小雨が降っている。でもロープウェイを使えば自然園までひとっ飛び。標高を挙げれば、せいぜいガスか小雪だろうと呑気にスタート。
。。。がしかし、ロープウェイは3月以降土日のみの運行。さらに林道入り口までの最短リフトも濃霧のため運行していない。「まじかよ。やっちまった。」「オレら何年白馬に通ってるねん。」
失意のなかトボトボと林道をハイクアップし、まずは小蓮華山を目指す。気温が異常に高く、雨とガスでウェアはじっとりと濡れ、重いザックが肩に食い込む。しかも二人とも前日に食い溜めをしすぎたせいかペースが上がらない。
雪倉と赤男の間のコルでビバークする予定だったが、思いのほか進まなかったのと、天気がかなり怪しいのとで、雪倉岳避難小屋を使わせていただくことにした。

ゴンドラ運行してない。

自然園
やっと船越の頭
小蓮華岳
雪倉岳避難小屋
小屋周辺にはライチョウがたくさんいたので、しばし撮影会。
柳又谷の支流、六兵衛谷。下部の滝が登れなそうだと分かっているので、キャニオニングで来たい。

2日目 雪倉岳避難小屋ーさわがに山

予想通り夜間から降雪が強まり、風もかなり強かった。避難小屋で泊っておいて正解だったようだ。
予報では徐々に天気は回復し、曇り時々晴れ。全行程のうち、最も滑走が楽しめそうな日なので、晴れてくれと祈りながら薄闇の中ヘッ電でスタート。
残念ながら祈りは通じなかった。強風の雪倉岳山頂からドロップすると、次第にハードガスに包まれる。視界は15m程度で、すぐにお互いが見えなくなってしまうほどだ。頻繁にGPSを確認しながらルートファインディングを行うが、樹木などの目標物が少ないため、まっすぐ進むこともままならず、幾度も支尾根に迷い込む。雪酔いで平衡感覚を失い、まともに滑ることができない。また、この区間はスノーボーダーにとってはヒールサイドのトラバースが多いため、やまねさんはどんどん下がっていってしまう。スキーヤーの私はよくわからないのだが、ボーダーにとって、重荷を背負っての長距離ヒールトラバースは相当しんどいらしい。
ビバークも頭をよぎったが、今後の行程を考えると、進めるだけ進んでおいたほうが良いと判断。何とかさわがに山までたどり着き、疲れた体でツエルトに潜り込む。
ガスに加えて雪も降りはじめ、明日以降の行程をこなせるだろうかと不安がよぎる。ここまでの進み具合から、2泊で抜けるのは無理だろう。

雪倉岳。風は強いが直下はパウダーあり。
朝日岳。ガスが濃くなってくる。
ルーファイ中。
なんも見えない。
デカい雪庇割れ多数。
ガスの中慎重に進む。
さわがに山
ツエルト狭い。

3日目 さわがに山ー白鳥山避難小屋

雪は夜中も降り続き、何度もツエルトの幕体で顔が圧迫されて起きる。どうやら10-20cmも積もったようだ。ガスは昨日よりマシな気がするが、依然としてルーファイの難易度は高い。
今日のセクションは、クラックや痩せ尾根の処理が多いので、雪で覆われたクラックに落ちたりしないか心配だ。
まあ心配ばかりしてもしょうがないので、腹をくくって進む。さわがに山から犬ヶ岳は、前情報通りクレバスが多く、迂回のためにシートラを多用。犬ヶ岳の西面はドでかいクラックが下まで続いており難儀した。こういった際どい箇所もあるが、今年は雪が多いので、過去の記録よりは幾分か楽に超えられたと思われる。視界以外は。
犬ヶ岳からは稜線を少し東に外れ、黄連山と菊石山のコルを目指してトラバース。まずは犬ヶ岳山頂から標高差200mほど沢筋を滑走するが、ここもハードガス。だが、昨日の反省を生かし、2ターンずつお互いを追い越して目標物にするというやり方で、視界がない中でも多少まっすぐ進むことができた。
だんだんと天気も回復し、降雪のおかげでシールが効きやすかったので、やまねさんにシール滑走を教えながら快調にトラバースできた。
しかし3日目になるのにまともに滑れていない。明日こそ、一発ドカンと気持ちよく滑りたいと言いながら、暖かい白鳥小屋で酒を飲み眠りに落ちた。

朝からデカクラック
さわがに山西面はクラックまみれ。下へ下へと追いやられてしまった。
シートラで雪稜歩き。
トラバース中は少し天気回復。
広い尾根を歩く。
クラックを超える。
安息の地、白鳥山避難小屋
内部は非常に快適だった。整備してくださっている方々に感謝。

4日目 白鳥山避難小屋-親不知

待ちに待った快晴だ。白鳥小屋からのんびり朝日を眺め、雪が緩み始めたタイミングでドロップ。標高1200m以下にも関わらず、雪はたっぷりとある。やや硬めで、よく走るザラメのザリザリという感覚で足裏が痒くなりそうだ。日本海と青空と太陽を眺めながら、3日間の鬱屈を蹴散らすようにかっ飛ばす。思わず泣きそうになるくらい気持ちが良い。
今年は積雪が多く、日本海まで稜線通しで進めそうだ。口々に「最高や!!」と叫びながら気持ちよく滑走していく。
二本松の峠付近まで、ほとんどシールで行くことができた。あとはひたすらシートラで日本海を目指してガシガシ歩いていく。よく整備された登山道で歩きやすかった。
徐々に潮の香りと音が近づいてきて、眼前には日本海が。駐車場からそのまま国道を横断し、遊歩道で海へと降りた。
飛び込んで泳いでやろうと思ったが、満ち潮で波が高く一発でぶち転がされたので、一掻きだけしてあっさり陸に上がり、しばし余韻に浸った。

朝焼け撮影タイム。
だんだん上がってくる。
やっと見れた。日本海。
白馬方面を振り返る。長かったな。
いざドロップ!
緩斜面だけどロケーション良すぎて脳汁噴出。
ややアップダウンあり。
雪はまだまだある。
坂田峠。
まだシールで行ける。
春。
地味なピーク。
潮の香りがしてきた。
最後の遊歩道を下る。
お疲れさまでした。

全行程を通じて気持ちよく滑走できた区間は最終日だけで、ガスに巻かれて悪戦苦闘していた記憶が大半を占める。しかし、自分の足とスキーで日本海までたどり着くことができたのは紛れもない事実で、誇らしく思う。このコンディションでやり切れたという自信になったと思う。
また、誘ってくれたやまねさんには感謝と尊敬しかない。おそらくスプリットボードでこのルートを抜けた人はいないのではなかろうか?やまねさんは、普段から爺ヶ岳や白馬周辺のスティープやビッグマウンテンを攻めまくっている変態だが、アップダウンが多くシール滑走を多用するような縦走系は、あまり経験がなかったそうだ。谷周りのキックターンやシール滑走のやり方も山行中に私が教えたのだが、どんどんマスターしていって気づけば普通にシールでターンしていた。(来世はスキーヤーになったほうがいいですよ。)
ガスに巻かれてうんざりしている中、その明るいキャラクター励まされた。

山行おまとめ動画(やまねさん作)

ガスは全カットです。

ギアのふりかえり

滑走具

板:Fischer Ranger 102 169
ビンディング: ATK Free Raider 13 EVO
シール:Pomoca Free tour(ピンク)

昨年からシーズン初めと春先に使用しているセット。シートラとキックターンが楽なようにあえて短めの169㎝にしている。足元からテールが固いので重荷で後傾になってしまっても、戻ってきやすい気がする。
ビンディングは軽さの割にかなりホールド感が良く、滑りと登りのバランスが良いので気に入っている。おそらくリピートするだろう。
Pomocaで最もコンパクトなシール。耐久性が微妙だという話も聞くが、石やハイマツを踏みまくっている割には痛みが少ない。グリップ力が悪いという話もあるが他の人と差を感じたことはほとんどないので、自分には合っているようだ。

シェルター

ファイントラック ツエルトIIロング

当初の予定から1日延びた関係で、3泊中2泊は小屋を利用させていただいたので、出番は少なかった。
男二人だとかなり窮屈。気温と湿度が高かったこともあり、ビッチャビチャに結露した。ツエルト3を自作しようかな。

食料

朝飯:カレーメシ
夕飯:クスクス85g+スープの素2つ+乾燥野菜+サラダ油
その他(ホットドリンク類、スープ類、つまみ、酒)

カレーメシは高いので、半分はクスクスを持って行った。栄養価の比較は以下の通り。グラム当たりのカロリーはほぼ同じだが、クスクスのほうがタンパク質が多く、合わせるスープで調整可能なので気に入っている。クノールカップスープを入れる場合、最初にしっかり混ぜておかないとガチガチのダマになるので要注意。スプーン折れるかと思った。

カレーメシ
ビーフ味
クスクス(85g
+スープ2つ
+乾燥野菜
+サラダ油)
カロリー(kcal)465595
タンパク質(g)7.214.3
脂質(g)15.521.0
炭水化物(g)74.184.6
重量(g)107135
※スープの素はクノール カップスープ 4種のチーズ味×2食分で換算。コショウを足すとより美味。

食後には無印良品のフリーズドライ豚汁を飲んだ。安くてたくさん入っていて、味も良いのでおすすめ。

自作コジー

100均のサンシェードとマジックテープで作る格安コジーだが、効果は抜群。ジップロックMサイズがぴったり収まるようにしてあるので食べやすい。耐久性はあまりないが、安いし簡単に作れる。

山行概要

日時:2024.04.02-05

メンバー:やまね、きむ(記)

行動記録
1日目(雨時々曇り)
09:45 栂池高原スキー場 発
14:30 小蓮華山
16:40 雪倉山避難小屋 泊
夜間雪5cm


2日目(雪時々曇り)
05:15 雪倉山避難小屋 発
06:05 雪倉岳
10:29 朝日岳 
14:05 黒岩山
16:30 さわがに山 山頂付近幕営地 泊
夕方から明け方にかけて降雪10-20cm

3日目(曇り時々晴れ)
05:45 幕営地 発
09:25 犬ヶ岳
12:35 Co1144 コル
13:30 下駒ヶ岳
16:10 白鳥山避難小屋 泊


4日目(晴れ)
08:00 白鳥山避難小屋 発
09:15 坂田峠
11:55 二本松
12:05 入道山
13:20 親不知 着